同時期に劇場公開されたホラー映画「貞子DX」と「”それ”がいる森」。 「貞子DX」は言わずと知れた日本を代表するホラーアイコン「貞子」シリーズ最新作。そして「”それ”がいる森」はその貞子を生み出した傑作「リング」の中田秀夫監督の作品ということで、貞子VS中田秀夫の対決におそらく多くのホラー映画ファンが期待したことと思います。
「貞子DX」のほうが好きだった
「”それ”がいる森」は個人的にはあまり好みじゃなかったです。物語として違和感のある箇所が多すぎて話に入り込めないというか、どうにも納得いかない箇所をそのまま放置して物語が進んでいく感じがしてついていけませんでした。細かくツッコミどころはたくさんあるんですがネタバレになるので省略。
それに比べると「貞子DX」は荒唐無稽ながら少なくとも映画を観ている間は「この世界ではそうなんでしょうね」というある程度の説得力とテンポの良さに丸め込まれるので全然見れる感じです。「呪いのビデオが現代にあったら」に正面から挑んだ姿勢と、ある意味ハートフルな結末も好印象。
ホラー映画度は…
「”それ”がいる森」が一応は真剣なホラーをやろうとしているのに対し「貞子DX」は全くホラーでは無いですね。「呪いのビデオ」という設定を利用したコメディ寄りのミステリーという感じ。ストーリー上のツッコミどころも全体のテイストがギャグっぽいので許してしまえる感がありました。「世にも奇妙な物語」のホラー寄りの回ぐらいの後味だと思ってもらうとちょうど良いかも。
逆に言うと「”それ”がいる森」は一見シリアスなホラーをやろうとしているのにツッコミどころ満載だからチグハグでコーヒーだと思って飲んだらめんつゆだったみたいな不快感があるんですよね。
「貞子DX」は冒頭10分で「コーヒーだと思って観に来たみなさんすみません!コーヒーじゃなくてめんつゆでした!」をしっかりやってくれているのでめんつゆとして味わう心づもりができる。というか「貞子DX」というタイトル自体がもうふざけてますからね。
結果的に自分にはイマイチでしたが、ちゃんと「ホラー映画」してるのは「それがいる森」の方だと思います。
どっちもB級映画
結局のところどっちもB級映画だったと思うのですが、タイトルからちゃんとB級映画の匂いをプンプン醸し出し、冒頭10分でちゃんと種明かし?をしてくれた「貞子DX」のほうが誠実に感じましたし楽しめました。
対して中田秀夫監督・相葉雅紀主演で期待値が高かった上に「本格ホラーですぞ〜!」という皮をかぶっていただけに「”それ”がいる森」にはガッカリ感がありました。
あくまで個人的な感想ですが、「それがいる森」「貞子DX」をどっちも劇場で観たというのは実は結構レアな体験じゃないかと思って書きました!
(おわり)