一人二役の歌を集めたい

太田裕美の「木綿のハンカチーフ」のように、ひとつの歌の中に別々の人物のセリフが混じっていてそれを歌い分けているような曲をたくさん知りたい。二役に限らず、三役以上でもOK 。いくつか見つけたのでここに記しておきます。

石野真子 プリティー プリティー

1979年。「機嫌なおせよ」と諫める男性(父親?)と「私が悩んでるのはそんなことじゃない」「わかってないのね」という女性のすれ違い的な歌詞になってます。作詞:阿久悠、作曲:筒美京平の黄金コンビ。

さだまさし 検察側の証人

1980年。ある別れたカップルについて、彼氏の友人や彼女の友人など周囲の人間3人がそれぞれ語るんだけど3人とも証言が食い違っているという内容。最初の二人は彼氏擁護と彼女擁護に別れつつも「彼女が彼氏をフッた」という点では一致してるんですが、三人目の人が「彼氏側が彼女を捨てた」という証言をしだすので一気に真相が煙に巻かれる感じがシビれます。当事者が不在(彼氏彼女本人の証言はない)なところもイイ。さだまさしは他にもありそうですね。中島みゆきとかも。

ピンクフロイド The Trial

1979年。名盤「The Wall」のトリを飾る曲。主人公が被告となり裁判で裁かれるという曲なんですが、裁判官、弁護士、主人公の恋人、母親などをベースのロジャー・ウォーターズが歌い分けています。同アルバムの「Comfortably Numb」 も医者と患者の二役の曲ですが、歌う人が別々なので選外。

井上陽水 断絶

1972年。彼女との恋愛を阻もうとする彼女の父親に憤る主人公の心情と、彼女の父が言ったセリフで構成されています。両者の温度差というか、極端な歌いわけが面白い曲です。

港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ

1975年。ほとんどが歌でなくセリフなので「歌い分けている」という感じはあまりないのですが一応。阿木耀子はこういうことを他の曲でもやってそう。

どうやって探せばいいのか?

他にもまだまだあるはずなのですが、探し方がわからないです。作詞家でたどるのがいいかもしれません。それからピンクフロイドの件から考えるにコンセプトアルバム系にはこういうのが結構あるかも?
そして僕が70〜 80年代の曲が好きなので偏ってしまいましたが、最近の曲でもこういう系のものはあるんでしょうか?いずれにしても総当たり的な探し方になってしまうので、なんかいい方法ないかな…。こういう曲を総称するジャンル名があればいいんですけどね〜

※ここから下は後から発見した追記分です

太田裕美 赤いハイヒール

これは「木綿のハンカチーフ」の次作にあたる曲。前作のヒットを受けて2匹目のドジョウ的に作られた曲なんじゃないでしょうか。歌詞もアンサーソング的というか前作を真逆にしたような感じ。上京したものの都会に疲れてしまった女性に対して男性が「ぼくと故郷に帰ろう」と呼びかける内容になっています。まさか次作で同じタイプの曲をやっているとは盲点でした。

ボブ・ディラン Spanish boots of Spanish leather

これも「木綿のハンカチーフ」絡みの曲です。詳しいことは「木綿のハンカチーフ スペイン革のブーツ」「木綿のハンカチーフ 盗作」とかでググるといっぱい出てくると思うのでこちらでは割愛しますが、松本隆はこの曲に着想を得て「木綿のハンカチーフ」を書いたそうです。知らなかった…。

歌詞の内容的には旅に出た恋人との手紙のやり取りになっていて、旅行先から「何か金とか銀でできたものを送ろうか」と尋ねる恋人に対して「深海のダイアモンドよりも君のキスが欲しい」と返すところなんかそっくりですね。最終的に故郷から心が離れてしまい「しばらく帰らないかも」という恋人に「スペイン革のブーツを送ってくれ」と返します。

正直言って歌詞を読んでもどうしてスペイン革のブーツを送って欲しいという結論になるのかよくわかりませんでした…それに比べると「涙拭く木綿のハンカチーフください」というのはめちゃくちゃ分かりやすい。