「萩の月」と「防腐剤問題」

仙台銘菓「萩の月」。先日これを頂いたので一人で食べていて、スゴい事実に気付いたのでご報告したい。

そもそも、生菓子界隈で発生している「防腐剤問題」をご存じだろうか。いや、コレは僕が考えた言葉なので誰も知らないと思いますが。でも同じことを思っている人は少なからずいるはず。
説明すると、まず、和洋問わず個包装の生菓子には防腐剤が入っている。「食べられません」と書いてあるアレである。

コンビニなんかでひとつずつ売ってるどら焼きの場合で想像して頂きたい(どら焼きなんか普段食べないわよ、という方は次にコンビニ行った時に確認してみよう)。ビニールの袋に包装され、中にどら焼きと「食べられません」が一緒に入っている。
ビニールを端のギザギザからピリッと開け、どら焼きが顔を出す。
そこからどら焼きを袋の外へ取り出そうとすると手がベタベタになるので、個人的にはそのまま、袋を持ってどら焼きの露出部分にかじりつきたい。丁度ハンバーガーを食べる時のような感じ。

しかし!その時にネックになるのが「食べられません」なのだ。
袋の中には「食べられません」が一緒に入っている。
かじりついた時に、それも一緒に噛むはめになりかねない。どら焼きはまだ避けて食べやすいほうで、小さいものや包装がみっちりで「食べられません」を移動する余裕が無いもの、菓子本体に張り付いてしまっているものなどは難易度が高い。「食べられません」に噛みつく事を避けるべく取り除こうとすれば、やっぱり結局手がベタベタに……。

ご理解頂けただろうか。手を汚さず食べたいというこちらの目論見を邪魔する「食べられません」。
これこそが「防腐剤問題」なのであるッ(鼻息荒く)。

それで、萩の月はこの「防腐剤問題」を見事に解決していた。
その仕掛けは実にシンプルで、包装が二重になっている。
萩の月本体だけを包装したものを、防腐剤とともにもうひとつの袋の中に封入している。
つまり中心から順に萩の月本体、包装A、防腐剤、包装Bという構造なのだ。伝わるかな……?

この二重構造によって「防腐剤問題」は解決し、ハンバーガーの要領で包み紙(包装A)を持って食べても「食べられません」に噛みつく心配はない。包装Bと防腐剤だけを取り除いて並べれば、客に出す場合の見栄えもよい。
味が美味しいのはもちろんだが、こういうちょっとした心遣いが、萩の月を銘菓たらしめていると僕は思うのである。

萩の月