
先日マイケルジャクソンの「ムーンウォーカー」という映画を観ました。
なんとなく見始めたんですけど面白くて、かなり印象深い映画でした。
どんな映画?
なんとも説明しにくいのですが、wikipediaではこんな感じに説明されています
前半はマイケル・ジャクソンのミュージックビデオやライヴパフォーマンスの映像。後半はジャクソンが子供たちを麻薬漬けにしようと企むフランキー・リデオ(現表記ではミスター・ビッグ)から子供たちを救うために戦うミュージカルになっている。
この作品のなかで「Speed Demon」、「Leave Me Alone」、「Smooth Criminal」、「Come Together」のショートフィルムと「Man In The Mirror」のライブ映像が登場する。
ムーンウォーカー (映画) – Wikipedia
悪者にさらわれた子供達をマイケルが助けるというところがメインのストーリーになっていて、随所にミュージックビデオやライブ映像、別軸のショートフィルムが挿入されているような感じです。
マイケルが変身する!
僕が個人的にすごく感銘を受けたのが、マイケルの変身。
子供たちを助けるために、劇中でマイケルは
・スーパーカー
・巨大ロボ
・宇宙船
に変身します。
乗り込んで操縦するんではなく、マイケル自身が車に変身するというところがすごい。
この映画はマイケル自身がプロットを考えたと言われていますが、「なぜロボットや宇宙船に変身できるの?」という理屈を度外視した展開に流石の発想の自由さ・無邪気さみたいなものを感じました。
VFXを駆使して、いち歌手・ミュージシャンという存在を超越して子供たちのあこがれの存在・スーパーヒーローの領域に到達せんとするマイケルの壮大で無垢な野心に感銘を受けました。
たしかに「ロボットを操縦できる」よりも「ロボットに変身できる」のほうが子供目線ではカッコイイ。「スーパーカーに乗って逃げる」より「スーパーカーに変身して逃げる」ほうがカッコイイ。
「追いかけられる」シーンの多さ
前半のショートフィルムの中のひとつで、マイケルがファンやマスコミから逃げ回るシーンがあります。 最終的にマイケルはウサギの被り物をしてバイクにまたがり、映像も実写からクレイアニメーションになって超スピードで振り切ります。

後半のメインのストーリー部分でも、マイケルは繰り返し悪役に追われ、隠れたり逃げたりします。
そしてマイケルは前述のようにスーパーカーに変身して追っ手をまいたり、最後はロボットに変身してやっつけるわけです。

大勢に追いかけられる
↓
追いつめられる
↓
非現実的な方法で打破する
という展開が何度も繰り返されるんですね。
これには「スリラー」の大ヒット以降のマイケルのフラストレーションを感じてしまいます。
どこへ行ってもファンやマスコミに追いかけられ注目される生活から抜け出したい(でも現実的にはムリ)というマイケルの悲痛な深層心理が表れているんじゃないでしょうか。
「Smooth Criminal」のカッコよさ
なによりスゴいと思ったのは「Smooth Criminal」が流れるシーンの圧倒的なカッコよさです。
Youtubeでも見れるSmooth Criminalのミュージックビデオは、実はこの映画の一部なのです。
特に後半の、一旦音楽が途切れてインプロっぽくなった後再び曲に戻るシーンが超カッコイイと思うのです。圧倒的な緊張感。そしてギターのリフが最高。MVでいうとこのあたりですね
子供たちを助けるというストーリー上はまだ中盤ですけど、映画全体の盛り上がりとしてはこの「Smooth Criminal」のシーンがクライマックス、ハイライトと言っていいでしょう。
個人的には「ムーンウォーカー」という映画自体が「Smooth Criminal」のためにあると言っても過言ではないんじゃないかと感じました。YouTubeでこの部分だけ見るのと映画全体を通してみるのでは、同じ映像でも体験として全然違いました。この感じはぜひ実際に映画を観て体感してほしいところです。
ゲーム版もすごい
実はこの映画、アーケードゲームにもなっています。しかもSEGA。
有名な話ですが、マイケルは自宅にアーケード筐体を設置するほどのゲーム好きで、かなり熱烈なセガファンだったらしいです。
実はこの映画の存在は前から知ってはいたんですけど、映画を観た上で改めて見てみると再現度がスゴいです。
マイケルの曲がBGMとして流れるし、回数制限のある全体攻撃(シューティングゲームでいうところの「ボム」的なもの)がダンスで敵キャラまで踊りだしてしまうとか、前述のロボットに変身する要素も再現。
ただ既存のアクションゲームのキャラクターをマイケルに置き換えたようなやっつけ仕事でなく、かなり精工に作りこまれた作品になってます。
さらに家庭用としてメガドライブ版もあります。アーケード版が立体的なクォータービューだったのに対してこちらは横スクロール。アーケード版と比べるとショボく見えてしまいますが、こちらも作りこみスゴイと思います。
巷ではB級映画として紹介されることが多く、実際にB級映画だとは思うのですが、マイケルのあまりにナイーブな心の中を覗けたような気分になれる素敵な映画でした!

