
昔実家で猫を飼っていた時期がありました。捨てられていた子猫を、妹が拾ってきてしまったのです。
名前は妹の発案で「りぼん」だったのですが、最終的には家族はみんな「ぼん」とか「ぼんちゃん」とか「おぼん」とか読んでいました。男の子だったし、「りぼん」という感じの可憐さは一切なく、でっぷり太ってふてぶてしい猫でした。
ハチワレ
「ぼん」が何という種類の猫だったのか詳しくは知りませんが、いわゆる「ハチワレ」という感じの模様でした。
このハチワレという言葉、当時は知らなかったんだけど大人になって読んでた小説にハチワレが出てきたので調べてみて知りました。
頭のところでふたつに割れているような模様なので漢字で書くと「鉢割れ」だと思ったんですが、今は「八割れ」と書く事が多いようですね。
元々は鉢(=兜)が割れたように見えることから漢字で「鉢割れ」とされていました。
https://er-animal.jp/pepy/87784#outline_2
しかし頭(兜)が割れるとは縁起が悪いということで、末広がりで縁起が良いとされる漢数字の八にも見える模様であったため「八割れ(ハチワレ)」と呼ばれるようになりました。
とのこと。
僕はあまり熱心に世話をしていたほうではなかったけど、ちょっと家族のムードがピリついた時なんかに、それがほぐれるきっかけを作ってくれる事が多くて助かった記憶があります。
あまり鳴かない静かな猫でしたが、そういう時だけ眼をカッと開いて鳴くんですよね。多分彼は僕達の兄みたいな自覚を持っていたんじゃないかな。
「こらこら弟たちよ、喧嘩するでない」
そんなふうに言っていたんだと思います。
とにかく今でもハチワレの猫を見ると「ぼん」のことを思い出します。
(おわり)
